猫は7~8歳を過ぎると老齢期といわれ、活動量の減少に伴い、食べる量もまんべんなく少なくなってきます。
そのため、以前ほどフードを食べなくなったり、食べ方にばらつきが出たりすることがあります。
健康で長生きするためには食事管理がとても大切なので、愛猫に合ったフードを食べさせてあげることが必要です。
高齢の猫に食事を食べてもらうために、私たちができることとは?
高齢期のネコのごはんは、超難しい!!
猫は年齢による外見の変化はあまりありませんが、私たち人間の4~5倍の速さで年をとります。
年をとると、人間と同じように若い頃に比べて食事量が徐々に減っていきます。
若い頃に比べて活動量が減っているため、除脂肪体重が減少し、それに伴って基礎代謝量も減少するため、食事から多くのエネルギーを得ようとしなくなるのです。
一般的に7~8歳以降が高齢期といわれており、年齢やライフスタイルに合わせた高齢猫用フードを選ぶ必要があります。
高齢期に多い慢性腎不全や甲状腺機能亢進症などの病気にもかかりやすく、適切なフードを与えることでこれらの危険因子を減らし、長生きをさせることができます。
そのため、年齢だけでなく病気に対応した食事を与える必要があるのですが、栄養バランスを考えるのは非常に難しいことです。
病気によっては、食欲がなくなり、餌を食べなくなり、やせ細ることもあります。
また、年齢とともに味覚や嗅覚も衰えてくるので、なかなか食いついてくれないことも多く、高齢猫の食事管理は非常に重要です。
また、口腔内のトラブルが起きやすく、歯ぐきが弱くなったり、歯が抜けたりすることがあります。
硬いドライフードを食べられなくなるので、フードの形状や硬さにも注意が必要です。
高齢期のネコの理想的なごはん!
●高エネルギーが取れるごはん
猫は年をとると活動量が減り、必要なエネルギー量も減ります。
その結果、若い頃よりも食べる量が減り、1回に食べる量も減っていきます。
実際、7~8歳の猫では肥満の有病率が高いのですが、11歳になるとほとんどの猫が低体重になる傾向があります。
そのため、少量の食事でも十分な栄養が摂取できるように、エネルギー密度の高い食事を与える必要があります。
高齢猫では1.1~1.4×RER(安静時エネルギー要求量)(55~70KCAL/KG)、低体重猫では1.6×RER(80KCAL/KG)が理想とされている。
●消化・吸収の良いごはん
高齢の猫にはエネルギー密度の高い食事が望ましいのですが、加齢とともに消化機能が低下してきます。
食事によって消化時間が変化し、猫の健康状態に大きく影響します。
タンパク質や炭水化物の消化機能はあまり低下しませんが、脂肪を分解する膵臓の機能は低下し、加齢とともに脂肪の消化機能が低下することが知られています。
そのため、脂肪分が多くなく、消化の良い食事を選ぶようにしましょう。
ただし、脂肪は食事の嗜好性を高めるので、極端に脂肪を減らすと高齢猫では体重が減少します。
また、猫に必要な必須脂肪酸であるリノール酸、リノレン酸、アラキドン酸が含まれているかどうかも確認しましょう。
消化機能の低下により1回に食べる量も少なくなっているので、食事の回数を増やすようにしましょう。
●かみ砕きやすく、やわらかいごはん
猫も高齢になると、食べ物を咀嚼する力が弱くなったり、うまく飲み込めなくなります。また高齢になると口腔内疾患にかかりやすく歯周病や口内炎、歯がないなど様々なトラブルが多くみられるようになり、食事が困難になることもあります。
一般的にドライフードの方が歯垢の蓄積が減少しますが、口腔内疾患により歯肉炎や歯周病を引き起こしている場合は痛みがあるため、ドライフードをお湯でふやかしたり、ウェットフードにするなど柔らかい食事を与えることです。
●水分補給にも気を配る必要がある
食べ物だけでなく、水も健康維持に欠かせない栄養素です。
加齢とともに喉の渇きは衰え、高齢者は腎臓の機能が低下して水分の摂取量が減ると脱水症状になります。
実は、腎臓の機能が低下すると、おしっこを濃縮する機能が低下するため、水分の損失が大きくなり、慢性的な脱水症状を引き起こすのです。
脱水はさらに腎臓の機能を悪化させるだけでなく、低体温症につながることもあります。
健康な犬は1日に200〜250ML程度の水を飲むとよいと言われていますが、いつでも水が飲めるように水飲み場を増やしたり、水分量の多いウェットフードを与えたりすることが必要です。
高齢期用のネコのごはんを食べてくれない!何かいい方法はある?
●特別においしいモノ!プラスしてあげる
高齢になると、食べムラが大きくなります。
猫の食欲は匂いで刺激されるので、かつお節など猫が好きな匂いのものをトッピングしてあげると、より食べるようになるかもしれません。
また、野菜や肉を使って手作りする方法もありますが、必要な栄養素をバランスよく摂取することは難しいです。
●ごはんをふやかしてみる
フードの硬さが原因で食べないこともあるので、お湯でふやかす、柔らかいウェットフードを使うなどして、食べやすくしてあげましょう。
お湯でふやかすことで、フードのにおいを放出して食欲を刺激することができます。
また、猫は冷たいものよりも温かいものを好む傾向があるので、フードを温めることでより嗜好性を高めることができます。
●流動食を試してみる
ドライフードなどの固形食を食べない場合は、流動食を試してみましょう。
お湯でふやかして、ミキサーでペースト状にします。
スプーンやシリンジで食べさせることができます。
固形食に比べ、流動食は量が必要ですが、1回の食事で与えすぎると消化に負担がかかり、下痢や嘔吐を起こすことがあります。
病気の可能性も否定できないので、獣医さんに相談してみる
高齢の猫が食べない理由は、単純な食事制限ではなく、何らかの病気の可能性もあります。
特に高齢の猫に多い慢性腎不全は、水を大量に飲んだり、おしっこの回数が増えたりします。
腎機能が低下すると、重度の脱水症状、貧血、嘔吐、下痢、食欲不振による体重減少などが起こり、命にかかわることもあります。
一般的には対症療法となりますので、早期発見・早期治療が延命につながりますので、早めに動物病院を受診しましょう。
まとめ
猫も年をとると、私たち人間と同じように活動量が減り、食べる量も減ってきます。
また、高齢になると慢性腎不全などの病気にもかかりやすくなりますので、食事管理がとても大切です。
健康な猫であれば、エネルギー密度が高く、消化の良い高齢猫用フードが望ましいですが、何らかの疾病を患っている場合は、それに対応した療法食が必要です。
また、嗅覚や咀嚼力が衰えてくると、かつお節などの風味を加えたり、お湯でふやかして食べやすくするなど、食欲を刺激することが大切です。
また、食事だけでなく、水は生命維持に欠かせない栄養素で、猫にとってとても大切なものですので、いつでも水を飲めるようにしてあげてください。